Webで知る“SOPHIA”
2023年に上智大学は創立110年、上智短期大学は創立50年を迎えました。それぞれの学校の歩みは、振り返ってみれば時代の中に翻弄されながらも、つねに「よりよきもの」(magis)を求める精神によって、また世界の多くの人びとの支援によって、困難を乗り越えてきました。1981年に初めて来日したローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、広島で全世界に向けて「平和アピール」を発表し、「過去を振り返ることは将来に対する責任を担うことです」と語りかけました。この平和宣言のなかでの言葉は、まさしく現在の上智学院にも当てはまる言葉であり、過去を見つめなおすことが、将来の展望を開いてくれる貴重なメッセージとなっています。
1913年に創立した上智大学は、関東大震災による赤レンガ校舎の崩壊、大学令による大学昇格のための供託金不足、また軍国主義化していく日本の中にあっての宗教と国家の問題、さらに戦争に突入していく中にあって学生を犠牲にしなければならない苦悶など多くの困難にさらされました。しかし戦後はキリスト教精神を軸にした公開講座の成功が弾みとなり、新制大学として発足し、法学部や外国語学部などの増設や校地の拡張などで飛躍的に発展してきました。1962年には理工学部を設置し、文系・理系を併せ持つ総合大学となり、大学紛争の危機はあったもののいち早く解決し、外国人のために開学した国際部が比較文化学部に昇格し、2006年には国際教養学部に改組し、日本や世界の国際化に貢献してきました。また2001年には、大学冬の時代をチャンスと捉えた改革構想「グランド・レイアウト」を発表し、「世界に並び立つ大学への進化」を合言葉に、人間の尊厳、環境問題、多様化するグローバル社会を視野に入れ、教育・研究の充実、キャンパスライフの整備に力を注いできました。
上智大学短期大学部は、神奈川県秦野市の高台にある絶好の環境の中で、女子の英語教育・人間教育を目的に1973年に開学されました。特に地域社会と連携し、公開講座、家庭教師ボランティア、外国籍市民との共生などにも力を注ぎ、文部科学省のGP(Good practice)にも2回採択されています。
上智社会福祉専門学校は、戦前に、東京の三河島町に貧民や虚弱児のための支援施設「上智カトリックセッツルメント」を開設したのに端を発し、その精神を受け継ぎ1964年に保母と社会福祉主事養成の上智大学社会福祉専修科を開設、1966年に上智社会福祉専修学校として開校しました。その後、社会福祉関連の国家資格に対応して介護福祉士科や社会福祉士・児童指導員科を設置し、専門職を多数輩出しました。残念ながら2022年に学生数の減少等により閉校を迎えましたが、社会福祉専門学校が半世紀の歩みを通して果たしてきた役割は、福祉の分野においても、上智学院においても大きなものだったと考えます。
こうした上智学院3校の歩みの中で、さまざまな過去の出来事をエピソード的に綴って”Webで知るSOPHIA“として公開し、過去を見つめることで上智学院のこれからを考えていく一助となればと思います。
上智大学
- No.1: 遙かなる胎動
- No.2: ささやかな学びの館の船出
- No.3: 国破れてソフィア精神あり
- No.6: インドシナ難民募金
- No.7: マザー・テレサの来訪
- No.8: レンガ募金による1号館
- No.11: オリエンテーション・キャンプ
- No.12: 法学部誕生秘話
- No.13: 学園紛争の嵐、その後の改革
- No.14: 戦艦ミズーリ号
- No.17: 先哲祭
- No.18: ザビエル祭
- No.19: 聖アロイジオ塾
- No.20: 教皇ヨハネ・パウロ2世の来訪
- No.23: 上南戦
- No.24: サマーセッション
- No.25: カマボコハウス(通称ボッシュ・タウン)
- No.26: 障がいを持つ学生への支援活動
- No.29: 演劇と語劇
- No.30: 上智カトリック・セツルメント
- No.31: 理工学部の創設
- No.32: 学生食堂
- No.33: 上智大生が植えた眞田濠土手の桜
- No.34: ヘルマン・ホフマン初代学長
- No.35: オールソフィアンの集い
- No.36: 二つの山小屋
- No.37: ザビエルと上智大学
- No.38: 上智大学テレビセンター
- No.39: 上智大学の女子学生
- No.40: 靖国神社参拝事件
- No.41: 校名の由来、校章・校旗、スクールカラー・校歌