学長メッセージ:ガザ地区の人道危機によせて

学生の皆さんへ

上智大学長 曄道佳明

教皇フランシスコのメッセージにもあるように、国際社会はパレスチナ・ガザ地区に起きている人々の非人道的な状態に極めて大きな憂いと憤りを抱いています。上智大学は、武力行使によって引き起こされる全ての人権侵害に反対するとともに、即時停戦と、人間の尊厳に基づく当該地域の人々の生活の回復、安全を求めます。

For Others, With Others(他者のために、他者とともに)を教育精神に掲げる本学は、創立以来、一人ひとりの尊厳が何よりも尊重される社会の実現を目指し、平和を希求する姿勢を一貫して堅持してきました。戦争は平和を破壊する暴力行為であり、本学の教育精神と真っ向から反するものです。上智大学は常に弱い立場の人々とともにあります。

また、本学の構成員は、宗教的、民族的、文化的に多様なバックグラウンドを持っています。大学とは、このような多様な構成員、皆さん一人ひとりが臆することなく、議論を交わせる場でなければなりません。すなわち、このキャンパスで繰り広げられる議論は、自由闊達であり、異論の拒絶ではなく、異なるそれぞれの立場を尊重し、社会の平和と人々の幸せを願うものであるべきです。対話や議論を重ねる過程で気持ちが揺さぶられたり、強い感情を抱いたりすることもあるでしょう。もし辛い思いをしている方がいたら、大学に相談してください。

本学は、どのような理由があろうとも、相手の尊厳を傷つける行為やいかなる差別も許容しません。上智大学は常に平和を愛し人間の尊厳を尊ぶすべての立場の人々とともにあります。

世界各地における戦争、紛争の勃発、拡大が後を絶ちません。武力行使により罪のない人々の命が失われ、今なお多くの人々が命の危機にさらされていることに、深い悲しみを感じずにいられません。

本学が世界各地の多様な大学や機関との連携を絶えず続けているのは、学術的な観点から自由で公正な議論と対話を通じて、世界平和の実現と発展に寄与する教育・研究活動を推進するためです。上智大学は、これからも宗教的、民族的、文化的バックグラウンドに関わらず、一人ひとりの尊厳が尊重される世界の実現のために、教育・研究活動を推進していくことを誓います。