公益財団法人三菱財団の「第56回(2025年度)研究助成」に本学3名の教員が採択
公益財団法人三菱財団の「自然科学研究助成(一般助成)」に、理工学部物質生命理工学科の竹岡 裕子 教授、「自然科学研究助成(若手助成)」に、理工学部物質生命理工学科の三澤 智世 准教授、「社会福祉事業・研究助成」に、総合人間科学部社会福祉学科の新藤 こずえ 教授の3名が6月24日に採択されました
【理工学部物質生命理工学科 竹岡 裕子 教授】
■研究課題:
「Sn系ペロブスカイト太陽電池の安定性向上に向けた有機アンモニウム材料の検討」
■研究概要:
環境・エネルギー問題が深刻化する中、ぺロブスカイト太陽電池が次世代太陽電池として注目を集めている。これは有機無機ぺロブスカイト型化合物を光吸収層に用いた太陽電池であり、現在主流のシリコン系太陽電池に匹敵する高い発電効率を示すため、近年非常に注目を集めている。一方で、これらペロブスカイト太陽電池には鉛が使用されており、非鉛型ペロブスカイト太陽電池の開発が望まれている。本研究では鉛の代わりにスズSnを用い、安全性と安定性の高いぺロブスカイト太陽電池を得ることを目的とする。スズ系ぺロブスカイト化合物は鉛系と比較して、酸素の影響を受けやすく酸化されやすいため、この酸化耐性を高める効果を示す有機アンモニウム材料を開発し、発電特性、安定性への影響を検証し、安全性の高い非鉛太陽電池開発指針を得ることを目指す。
■研究担当者(所属・職位・氏名):理工学部物質生命理工学科 竹岡 裕子 教授
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【理工学部物質生命理工学科 三澤 智世 准教授】
■研究課題:
「Ru(IV)-Ru(IV)二核錯体を用いた有機化合物の C-H 酸化反応」
■研究概要:
自然界では2 つ以上の金属中心(= 金属「多核」部位)を活性中心とする多様な金属酵素により、常温・常圧で効率的に物質変換が行われている。例えば、メタンをメタノールに酸化する酵素(MMO)の活性点は、2 つの鉄イオンあるいは銅イオンを含む「二核」構造を持つ。天然の反応を理解し、それにならった人工的なメタン−メタノール変換系を構築することは、環境・エネルギー問題が深刻化する中で重要である。天然酵素は第一遷移系列金属を反応点とするため高活性であり、反応中間体や反応機構の解析が難しいことも多い。本研究では鉄イオンを活性点とするMMO(sMMO)の模倣構造となる「二核」錯体を、適度な安定性と反応性を示すルテニウム(鉄と同族の第二遷移系列金属)により創製し、この錯体を用いて有機分子のC-H酸化反応を行う。反応中間体の結晶構造や電子構造の評価、および反応過程の解明に取り組む。
■研究担当者(所属・職位・氏名):理工学部物質生命理工学科 三澤 智世 准教授
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【総合人間科学部社会福祉学科 新藤 こずえ 教授】
■研究課題:
「障害等の複合的困難を抱えた子ども・若者の家庭養護に関する国際比較研究」
■研究概要:
日本において、虐待や家庭状況などの理由により児童養護施設等の社会的養護のもとで暮らしている子どもは4万2千人にのぼります。そのうち、障害や疾患等を抱える子どもは4割を超え、障害のみならず、エスニシティ、セクシュアリティに配慮した支援が求められています。国際的には子どもの権利擁護の観点から、児童養護施設等の施設養護ではなく里親やファミリーホームといった家庭養護が推進される状況にあります。しかし、家庭養護で暮らす子どもは2割程度にとどまっており、複合的な困難を抱える子どもほど暮らしの場を選択しにくい現状があります。本研究では、家庭養護が9割を超えるオーストラリアとの比較を通して、子どもの多様性を尊重した支援について検討することを目的としています。
■研究担当者(所属・職位・氏名): 総合人間科学部社会福祉学科 新藤 こずえ 教授
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