理工学部機能創造理工学科の田中 秀岳 教授が、公益財団法人工作機械技術振興財団の試験研究助成に採択
理工学部機能創造理工学科の田中 秀岳 教授が、公益財団法人工作機械技術振興財団の「第46次試験研究助成」に5月20日に採択されました
■研究課題:
「CFRP穴あけ加工産業用ロボットに適用する自動傾斜角調整機構を有する傾斜プラネタリ加工装置の開発研究」
■研究概要:
炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は,軽量で高強度,耐疲労性,耐腐食性に優れた材料であり,航空宇宙,自動車,風力発電,スポーツ用品など幅広い分野で使用されている.特に自動車産業において,燃費向上とCO₂排出削減を目的に,車両の軽量化が求められており,CFRPの採用が拡大している.そのため,CFRPの加工技術,特に高精度な穴あけ加工の需要が高まっている.
CFRPは従来の金属材料とは異なり,層構造を持つため,切削時にバリや繊維の剥離が発生しやすく,工具摩耗の問題もある.さらに,従来のマシニングセンターでは,工作物のサイズ制限があるため,大型部品の加工には限界がある.これらの課題を解決するため,産業用ロボットを用いた柔軟な加工技術が求められている.
本研究では,新規傾斜プラネタリ加工装置を開発する.最大の特徴は,傾斜角を外部コントローラーにより自動制御できる点である.産業用ロボットに搭載することで,バリを容認した金型成形による熱可塑性CFRPの仕上げ加工を,穴あけとバリ取りやトリミング加工を1工程で行えるシステムを構築可能となる.これは,将来需要が見込まれる熱可塑性CFRPの自動車産業分野への適用に寄与し,カーボンニュートラルの取り組みである「加工時のエネルギー削減」に繋がる.本研究で開発する傾斜プラネタリ加工装置は,産業用ロボットだけでなく,ガントリーロボットなどにも適用可能であり,工作物の大きさの制限を受けない加工環境を構築できる.また,自動傾斜角調整機構により,振動の発生を大幅に抑え,高精度な加工を実現できる.これにより,CFRPの穴あけ加工技術の革新に貢献すると考えられる.
■研究担当者(所属・職位・氏名):理工学部機能創造理工学科 教授 田中 秀岳
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