実践型プログラム「東南アジアに学ぶA」を実施しました
2024年9月4日〜9月15日に、実践型プログラム「東南アジアに学ぶA」をタイ・ラオスの2カ国で実施しました。
本プログラムは、歴史や文化の多様性に富み、その政治・経済・社会がダイナミックに変貌している東南アジアを対象に実施する現地渡航を伴うプログラムです。今夏は「持続可能な未来社会」をテーマに、現地学生・地域住民との交流やボランティア活動、エコツーリズム・農作業・工芸体験等を通じて、地域の課題とその取り組みについて学びました。
学部1年生から4年生まで計18名の参加者は、廣里恭史教授による指導のもと、事前講義と5回にわたる渡航に関わるガイダンスを経て研修に臨みました。
9月4日~5日はタイ・バンコクで、チームビルディングの実践を目的とした市中探索ワークショップを実施し、チームごとに訪問するエリアや体験する事柄を決めました。その後、実際に寺院・市場等それぞれの目的別に市中探索を行い、さまざまな学びや発見を共有しました。
9月6日の午前中に、飛行機でラオス・ルアンプラバンへ入国。午後にはラオスの国立大学の一つであるソパノボン大学に向かい、ソパノボン大学教員から「持続社会に向けたルアンプラバンの取り組み」についてレクチャーを受けました。その後、最終日の報告に向けて、4つのチーム(「多文化共生」、「環境保全と持続可能なツーリズム」、「農業と所得向上」、「教育とスキル開発」)に分かれ、グループワークを行いました。
古都ルアンプラバンは、ラオス最後の王朝が置かれた土地。伝統的な文化が根強く残る一方で、フランスの植民地統治下にあったことから、建築様式や食文化などフランス文化の影響も見られました。1995年に世界遺産に登録されてからは多くの観光客が流入し、オーバーツーリズムの問題等、持続可能な未来社会に向けた取り組みが不可欠です。
世界遺産オフィスでは、現地スタッフから世界遺産の概要や、オフィスの経営と遺産維持の課題、そして今後の展望などについて話を聞きました。「オーバーツーリズムによる実際の被害」「コロナ禍での観光への影響」など学生からは多くの質問が挙がり、現場担当者と共に課題解決を考えるいい機会となりました。
クワンシーの滝でのエコツーリズム体験に続いて、象の村で象と人の共生や環境保全の在り方、水牛農場でコミュニティ開発と産業発展の可能性、農作業体験や工芸体験を通じて衣食の持続可能性についてなど、さまざまな視点からルアンプラバンに潜む持続可能な未来に向けた課題と対策を模索しました。
さらに、現地の小学校で学校修復活動やボランティア教員体験を行いました。午前中には私立、午後には公立を訪問して生徒や教員と交流することで、それぞれの教育環境の違いを比較でき、持続可能な学習環境を深く考えるに至りました。
ラオスの産業人材育成の現場を知るために訪れた「LANITH」では、観光ホスピタリティ分野に特化した教育が行われていました。生まれ育った環境や置かれた境遇が自分と大きく違う同世代と関わり、協働活動を通して相互理解を深める貴重な時間となりました。
最終日には、ソパノボン大学の教員・学生とのディスカッションを通して、初日に分かれた4つのテーマについて理解を深めました。その後、参加者はグループごとに発表資料を作成し、全員の前でプレゼンテーションを行いました。初めて海外に出た学生や海外経験が少ない学生が多く、英語でのコミュニケーションに苦戦している様子が見られましたが、自分の考えを伝え、相手の考えを正しく理解する必要性に迫られ、それぞれのレベルで真剣にディスカッションに参加していました。発表後にはソパノボン大学・上智大学教員らから講評をいただき、最後には全員にプログラム修了書が手渡されました。
プログラム後の事後講義では、「今後は学部で東南アジアを専攻する決意ができた」「学科の学びとは離れたテーマであったが、他学部他学科履修制度を活用してこれからも学び続けたい」と”東南アジアに学ぶ”面白さに気づいた学生が多くみられました。事前講義で学んだ知識を糧に実際に体験し、プログラムで実践したからこそ気づいた学びを、上智に戻ってさらに深めていく。本プログラムは、参加学生にとってこの有意義な学びのサイクルを作り出す一歩となりました。
現地の訪問先のほとんどで、英語によるガイドが入りました。一方、訪問先の担当者が英語を話せない場合は、現地コーディネーターの補助でラオス語を日本語に通訳してもらえたため、単なる見学に留まらず、歴史や文化的背景など理解した上で体験できるのも本プログラムならではの強みです。また、引率教職員に加えて、本学がバンコクに設立した教育事業会社Sophia Global Education and Discovery Co., Ltd. のスタッフが同行するのも、参加者にとっては心強いでしょう。