実践型プログラム「アフリカに学ぶB」を実施しました

2024年2月26日~3月7日の期間、実践型プログラム「アフリカに学ぶB」を南アフリカ共和国のケープタウンとステレンボッシュにて実施しました。本プログラムは2015年に開始し、コロナ禍におけるオンライン実施を含め13回目の開講となります。南アフリカ共和国への渡航は、2020年以来4年ぶりとなりました。

本プログラムは、アフリカ諸国に10日間程度滞在し、現地大学の講義受講や地域に根付く市民活動の見学などにより、社会経済が大きく変動するアフリカの「現在」を体験的・実践的に学ぶことを目的にしています。

今回の参加学生(13期)8人は、事前に自分の専門分野や関心に基づくテーマと問いを設定し、ステレンボッシュ大学での講義、社会課題解決のための活動団体による研修・サービスラーニング、歴史・文化施設への訪問などを通して、アフリカの歴史と現状についての理解を深めました。特に、この南アフリカ研修では、歴史的背景に基づく「人権・格差」や「現代政治・経済」が主なテーマとなります。他にも、日本ではまだ十分に学ばれていない南アフリカ共和国の文化(音楽、芸術)や民俗学、哲学などの豊かさに現地での講義や実習を通して触れる機会もありました。

プログラム前半はケープタウンに滞在し、ロベン島やBo-Kaap地区、Slave Lodgeなど、アパルトヘイトの歴史や所縁のある施設を見て回ったほか、現地の方々との交流を通じて南アフリカ共和国の実情を見聞し、自身が設定した問いを深めていきました。

訪問した施設の一つであるディストリクト・シックス博物館(District Six Museum)では、政策下で定められた集団地域法による強制排除黒人が強制移住をさせられた際、スーツケース一つで家を追い出された写真、突如ブルドーザーで自宅を破壊される写真など、当時の様子についての数千もの証言や、地域社会がその後に直面した惨状が生々しく記録されており、日本の机上では学べない、現地だから聞くことができる当時の様子を知るという貴重な経験を得ることができました。

District Six Museumにて当時の様子を聞く
スーツケース一つだけを手にして住居を追い出されたことを示す展示(District Six Museum内)

現地で青年ボランティアや、社会変革を望んで活動を行っている方々との交流もあり、彼らの生活を取り巻く諸問題(暴力、自主退学率の高さ、格差など)について詳しく話を聞く機会もありました。目の前にある問題に対して、自分たちの権利を主張し、格差を是正しようとする姿勢に考えさせられることもあったようです。

YMCA Athloneにて青年ボランティアを行っている方々とのディスカッション

プログラム後半は、本学の協定校でもあるステレンボッシュ大学を訪れ、南アフリカ共和国の諸問題に関する3つの講義を受講しましたが、どれも学生同士のディスカッションやゲーム参加を通して理解を促すといった工夫が込められており、学生は集中して、積極的に参加することができました。

また、ステレンボッシュ大学に所属する同年代の学生との交流では様々な気づきがあったようで、例えば特定のトピックについてどのような意見を持っているか、自国の抱える問題はどのようなものがあるか、そのような問題に対してどのように考えているかといった質問が日常会話の中でフランクに出てくることが新鮮であったという声がありました。

上智大学への留学を検討している学生に対して大学についてのプレゼンテーションを実施

滞在中、ステレンボッシュ大学ラグビー部の試合を観戦する機会もあり、キャンパス内の大学グッズショップにてステレンボッシュ大学の大学名やロゴの入ったトレーナーなどを購入し、キャンパス内にあるラグビー場にてウィットウォーターズランド大学との一戦を観戦いたしました。

ステレンボッシュ大学キャンパス内にあるラグビー場にて試合観戦

現地での10日間では、連日の施設訪問や現地の方々の声に耳を傾けることや、参加者同士の振り返りを通じて共に体験したものの理解を深めることができ、非常に有意義な時間となりました。本研修に興味のある学生はぜひLoyolaダウンロードセンターに掲載している帰国レポートをご参照ください。