2026年度 実践型プログラム「フィールドワークの実践を通じて学ぶマレー世界」を実施しました
2026年8月23日~9月6日にかけて、実践型プログラム「フィールドワークの実践を通じて学ぶマレー世界」を実施しました。本プログラムは2024年度にパイロット版として実施され、2025年度に実践型プログラムとして科目化されてから今回が計3回目の渡航となりました。
本プログラムは、マレー世界とも呼ばれる東南アジア島嶼部に滞在しながら、提携校での現地語研修や文化・歴史に関する講義を受講し、現地の人々との交流を通じてフィールドワークの手法を実践的に身につけることを目的としています。2026年度は、インドネシア・ジャワ島中部に位置するジョグジャカルタの提携校、サナタダルマ大学を拠点として実施されました。
2026年度は3学部に所属する1年生から4年生までの計11名が渡航前の事前講義に参加、インドネシアの歴史や社会、ジャワ文化に関する基礎知識を学んだうえで現地へ赴きました。
現地での2週間の滞在期間は、大きく語学研修とフィールドワークの二つのパートに分けられます。前半約1週間はインドネシア語を集中的に学び、後半は市内のNGO訪問やサナタダルマ大学の学生との交流、伝統市場でのフィールドワークなど、多様な活動に取り組みました。
プログラム前半のインドネシア語講座では、学生たちはそれぞれの語学レベルに応じて3つのクラスに分かれ、2~5名程度の少人数制授業を受講しました。サナタダルマ大学では「楽しみながら外国語を学ぶ」ことを重視した授業運営が行われ、初めてインドネシア語に触れる学生でも無理なく学習を進められる環境が整えられています。また、学生一人ひとりに目が届く少人数制ならではの丁寧な指導も特徴であり、積極的に発話へ挑戦する様子が各クラスで見受けられました。
プログラム後半には、複数の伝統文化体験に加え、国際的な難民支援団体であるイエズス会難民サービス(Jesuit Refugee Service:JRS)を訪問しました。上智大学と同じイエズス会の理念である「他者のために、他者と共に」が現地でどのように実践されているのかを学び、難民支援や社会的包摂に関する理解を深める機会となりました。また、障がい者養護施設(Orphanage)を訪れた際には、施設で生活する人々との交流を通じて、インドネシア社会における福祉のあり方や課題について考察を深めました。
*バティック:ろうを使って模様を描き、染料で色をつけ、ろうを落とすという工程を繰り返すことで、複雑で美しい柄が描かれるインドネシアの伝統的な染色技法で作られた布地。ユネスコの無形文化遺産にも登録。
さらに、ジョグジャカルタを代表する繁華街であり伝統市場も広がるマリオボロ地区では、インドネシア語のみを使用したフィールドワークを実施しました。学生たちは現地の人々への聞き取りや会話に挑戦し、教室で学んだ表現を実際の社会の中で活用する貴重な経験を得ることができたとの声が聞かれました。言葉だけでなく、価値観や文化的背景の違いにも直接触れる機会となり、多くの新たな発見につながったようです。
サナタダルマ大学の学生との交流会では、インドネシア語を用いて日本文化や学生生活を紹介したり、日本とインドネシアの文化の違いについて意見交換を行ったりするなど、活発な交流が展開されました。流暢な会話力以上に「伝えようとする姿勢」が重視される環境の中で、学生たちは互いに工夫を凝らしながらコミュニケーションを図り、国境を越えた相互理解を深めていました。
本プログラムでは、「現地で体験するすべての時間・気づきがフィールドワークである」という担当教員の考えのもと、ホームステイ形式での滞在を採用しています。また、学生自身が地域社会を観察し、自律的に行動できるよう、自由時間も設けられています。歴史的建造物や観光地への訪問だけでなく、朝4時台に響くアザーン、ホストファミリーとの食事、日本とは大きく異なる生活習慣など、日常生活そのものが学びと言えます。学生たちは自身の目で見て、耳で聞き、実際に体験することを通じて、日本で収集できる情報だけでは捉えきれない現地社会の実情に触れ、現地調査の重要性を改めて認識していました。
文化、社会、経済、法律など、何に関心を持ち、どのような気づきを得るかは参加者によって異なります。そのため本プログラムは特定の学部や専攻に限定せず、全学生を対象として設計されています。多様な視点を持つ学生たちが同じ場所で学び、それぞれの問題意識をもとに現地を観察する点も本プログラムの大きな特徴であり、リベラルアーツ教育を重視する上智大学ならではの実践型プログラムといえるでしょう。