2024年度実践型プログラム「オーストラリア・サミット・プログラム」を実施しました
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2025年2月12日~18日にオーストラリア国立大学(ANU)との国際協働学習プログラム「オーストラリア・サミット・プログラム」が本学にて実施されました。本プログラムは2023年度にキャンベラでパイロットとして初実施され、本年度はANUから8名、本学から12名の計20名の学生が参加しました。
本プログラムは毎年異なるテーマに対して日豪両国間でコミュニケ(提言書)を取りまとめ、両国が直面する社会課題の解決と理想とする社会の達成を目的としています。
2024年度のテーマは「Migration, Refuge and Asylum in the Asia-Pacific」。参加者たちは、両国および世界が直面する移民、難民、亡命者の受け入れとその課題、そして課題解決について綿密な事前学習を行い、プログラム最終日には両学間でコミュニケを採択しました。
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サミット期間中は、5つの学部にわたる両学計8名の教授陣からレクチャーを受け、多様な視点でテーマについてのインプットを深めると同時に、熱心な質疑応答や学生間でのグループディスカッションを通して両国における社会課題の洗い出しや意見交換を行い、コミュニケ作成に向けての準備を進めました。
サミット最終日の閉会式では、本学教員だけでなく在日オーストラリア大使館から現役職員の方にもご参加いただき、緊張感のある中で各校から1名ずつの代表がコミュニケを表明しました。
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コミュニケでは、移民、難民、亡命者の受け入れを3つのステージに分け(①移動前(移民・難民の方たちが出身国において取り組めること)、②受入にあたって(移民・難民認定といった受入制度自体の改善)、③受入後の過程(受入国における共生社会の制度設計))、それぞれのステージにおける個人と社会が果たすべき責任や課題解決に向けた制度の在り方について提言を取りまとめました。持続可能で差別のない環境と制度を作ること、そしてより平和な社会を目指すことを誓って本サミットは幕を閉じました。
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今回のコミュニケ発表に対して、閉会式に参加した両学の教授陣からは「改善の余地は多くあるものの、提言書としての実現性と内容は評価できる」との声が寄せられました。また、在日オーストラリア大使館からも本サミットへの関心をお示しいただき、単なる大学間での議論にとどまらず、実用的な成果へとつながる一歩を踏み出すことができました。
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参加学生たちはサミットに向けて、事前に合計10を超える文献や資料を読み込み、個人プレゼンテーションを作成するだけでなく、出入国在留管理庁の現役職員の方より移民・難民問題についての基本知識や現状、課題についての講義を受けるなど、実践的かつ非常に濃密な事前準備を行いました。また、単なる理想論として終わらないよう、サミット期間中には本学の難民支援団体「Sophia Refugee Support Group(SRSG)*」が主催する難民カフェに参加し、日本に住む難民の方たちのリアルな声に触れる活動も行いました。
決して簡単ではない中でも準備を進めた参加者たちからは、「専門家の講義を受けてコミュニケを構築できたことや、異なる大学の学生と協力して多くのことを議論できたことはもちろん、交流を通じた文化の違いや共通点を学ぶ機会も得られたことは今後大きな財産になると感じた」との声が聞かれました。
本プログラムでは、学術的・実践的な経験はもちろん、プログラムの中日となった週末には本学学生主催の文化体験イベントも催され、オーストラリアの学生との交流も深めました。学術的経験にとどまらない多様な体験も大きな魅力といえるでしょう。