ミャンマーとタイのイエズス会高等教育機関と連携開始
ミャンマー中部とタイ北部では、イエズス会の支援により、高等教育を提供する学校が開設されています。これらの地域は、多文化共生や貧困削減・経済格差の是正といった、グローバル社会の課題に直面しているのが現状です。地域の課題解決に貢献しつつ、グローバル課題に対する理解を深める機会を学生に提供するという観点から、本学はこれらの学校との連携を始めています。
2018年2月5日から6日まで、総合人間科学部教育学科の小松太郎教授(本学グローバル教育センター長)が、ミャンマー中部のシャン州に位置するSt Aloysius Gonzaga (SAG) Institute of Higher Studiesを訪れました。同校は、イエズス会の支援により2011年に設立されましたが、ミャンマー政府は法整備の遅れにより私立大学の設置を認めていないことから、インドネシアの大学のカリキュラムに準じて社会科学を英語で教えています。同校は、ミャンマー中部に位置し、ミャンマーの多数派である仏教徒に加えて、キリスト教徒やイスラム教徒も多く通っています。ミャンマーでは軍事政権が長く続き、その間、少数民族との対立も続いており、現在も地域によっては民族間の緊張関係が継続していますが、SAG Instituteでは多様な背景を持つ若者が学舎と寮を共有しながら学んでいます。
小松教授は、学校側の要請により、「教育と平和」をテーマとした講義を、120人を超える学生に対して行いました。また、講義後には少数派民族の学生たちと対話の会を設け、教育課題について意見交換をしました。2018年度春学期には、試行的に小松教授のゼミの学生と合同で、オンラインのセッションを実施することが予定されています。
また、2018年3月2日から3日まで、総合グローバル学部の廣里恭史教授が企画・運営を担当する「メコン経済回廊スタディツアー」の一環で、本学学生10人がXavier Learning Community (XLC)を訪問し、少数民族出身の学生たちと交流しました。XLCは、イエズス会が2017年8月に開設した教育機関であり、2022年までの大学設立を目指しています。北部タイの少数民族に高等教育を提供することを念頭に、英語力の向上と社会科学分野の学びを得られるカリキュラムが組まれており、ほとんどの授業が英語で開講されています。
ミャンマーの学校同様、この地域でも多文化共生と貧困削減、経済格差の是正、さらには教育機会の保障が大きな課題となっています。1日目は、XLCの学生と一緒に少数派民族の村を訪れ、村長から村が抱える課題などについて聞きとりを行いました。翌日には、地域の課題について学生同士が意見交換しました。帰国後も、オンラインで両教育機関の学生が交流する計画があります。また、将来的には当地でサービスラーニングのプログラムを実施する予定もあり、両機関の連携が深まっていくことが期待されています。