教育学科 佐久間萌子(デ・ラ・サール大学(フィリピン))
2014年度SAIMS(Sophia AIMS)プログラム 秋学期参加
SAIMSの説明会に参加した日、私はとってもブルーだったのをよく覚えています。
私は当時、一学期間の海外長期ボランティアに応募しており、ちょうど不合格の知らせを受けた日だったのです。そんな時に友達に「SAIMSの説明会があるから行ってみない?」と誘われて、説明会に参加しました。なんとなく知っていましたが、初めて詳しい説明を聞いて、あっという間にSAIMSに魅了されてしまいました。実はこの説明会は、派遣学生を再募集するためのものでした。たまたま自分の興味があったフィリピンへの留学生を再募集していることを知り、「フィリピンに留学したい!これはチャンス!」と直感的に思いました。そう思ったのには、途上国の現状を知りたいという思いが背景にありました。私は途上国の開発と教育を学ぶ中で、その姿を自分自身の目で見てみたいと思うようになっていました。現地で生活し、現地学生と一緒に勉強できるSAIMSは絶好の機会だと思ったのです。私のブルーな1日は、今振り返るとハッピーなSAIMSの始まりの1日でした。
私が留学していたフィリピンを一言で表現するとすれば、「フレンドリーな国」だと思います。留学前は友達ができるかが一番の不安でした。ところが、フィリピンに行ってみると、誰もが明るく気さくで数多くの友人をつくることができました。学生だけでなく、店員さんもフレンドリーだったことには驚きました。
SAIMSでは、自分自身で見ること、感じることの大切さを学びました。以前は「途上国」と聞くと、皆が貧しく食べるものにも困っているというイメージを持っていました。しかし、フィリピンが抱える問題は国全体の貧しさというよりも、貧富の格差でした。食べ物やお金を求めてくる人がいる一方で、東京の中心地と変わらない高級な店や住宅が立ち並ぶエリアで暮らす人がいる。貧しい中でも明るく、たくましく生きる人々もいる。こうしたことは現地で暮らしていたから気づけたのだと思います。
また、フィリピン社会をフィリピン人の目線から考えることができたのも貴重な経験でした。留学先のデ・ラ・サール大学は、フィリピンの三大トップ校の一つにあたります。そこに通う学生たちは、将来フィリピンを引っ張る立場にある人々です。そんな彼らが自身の国をどう思っているのか、どう向き合っているのかを知り、彼らとディスカッションしたことは非常に有意義でした。途上国の開発と教育に関心があったため、途上国の課題や貧困層の人々の暮らしなどに関しては見聞きしたことがありましたが、いわゆるエリート層が見る途上国については考えたことがなかったため新鮮でした。
留学での一番の思い出は、友達と過ごした楽しい時間です。現地の友達とは授業を一緒に受けただけでなく、一緒に食事したり、クラブ活動をしたり、時には遠足に行ったりと多くの時間を共に過ごしました。フィリピンではクリスマスが一大イベントで、9月からクリスマスの準備が始まります。家族のつながりが強いフィリピンでは、クリスマスを大切な家族と過ごします。私は1月に帰国する予定だったので、クリスマスを現地で迎えることとなりました。クリスマスが家族団欒の日であることを知った私は、「クリスマスにお邪魔してもいい?」と言う勇気を持てませんでした。その日をどうやって過ごすか悩んでいました。ところが、クリスマスが近づいたある日、友達が「クリスマスは予定ある?もしないなら、うちにおいでよ!」と言ってくれたのです。会ってまだ4ヶ月ほどしか経っていませんでしたが、そんな私を家族との大切な時間に誘ってくれたことは本当に嬉しかったです。私にとって現地の友達は、家族のような存在です。そして、友達たちも同じように私のことを想ってくれたこと、そうした友達を得られたことに感謝しています。
SAIMSを通して、私自身がいかに多くの人に支えられているかに気づくことができました。初めてのフィリピン生活は慣れないことばかりで、不安や戸惑いがありました。でも周囲の人に助けられ、そうしたことを乗り越えることができました。現地の友達や教授、日本にいる友達や家族、上智の教職員の方々、時には見ず知らずの人にまでに助けられ、人の心の温かさを強く感じました。この経験のおかげで、今は「どんなことがあっても大丈夫」という気持ちを持てるようになりました。これからまた困難に直面することがあると思いますが、フィリピンの時のように周囲の人がきっと手を差し伸べてくれるし、そう思えることで頑張れるのだと思います。
もしSAIMSに興味があったら、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。不安もあるかもしれませんが、あなたの支えとなってくれる人が必ずいるはずです!私にとってSAIMSでの経験は、かけがえのないものです。この素晴らしい時間をより多くの人に経験してほしいと思います。