外国語学部 イスパニア語学科 3年(2023年度 教皇立ハベリアナ大学<コロンビア>)

2023年8月6日~9月4日の4週間に渡って実施された海外短期研修「教皇立ハベリアナ大学」に参加しました。

ホストファミリーと夜景が見える展望台に行った際の写真。ボゴタの南東部にあり、街を見渡すことができます。

①参加しようと思ったきっかけ

 私は2年次までイスパニア語を学習してきて、現地のネイティブスピーカーが使う生のイスパニア語に触れたいと思っていたため、参加を決めました。
 また距離や言語の違いなどの理由から旅行のハードルが高い南米に行ってみたいという思いも強かったため、半年や一年の滞在より気軽な短期研修を選びました。

②プログラム(学習)内容について

 現地の大学では外国人のためのイスパニア語講座を受けました。事前のテストによってレベル分けされた少人数のクラスで座学やプレゼンテーション、フィールドワーク等を通して語学力の向上とコロンビアへの理解深化を図るものでした。
 文法の授業やコロンビアを知る様々な分野の授業もあります。1か月を通して、イスパニア語だけでなく、コロンビアの慣習や国民性、食文化、歴史、政治、地理、観光などを大学内のいろんな先生の講義から学ぶことができ、先生は紙の資料やパワーポイント、映画などを用意してわかるまで説明してくださいました。

 そして何より、学生一人ひとりがテーマを設定し、プログラムを通して簡単な研究活動を行ったことは達成感があった思い出です。
 私はグラフィティ(壁画)をテーマに、ボゴタと日本のグラフィティの位置づけについて研究し、大学内の学生や先生方、ホストファミリーやその友人にアンケートをとったり、新聞記事を読んだりして進め、最終日に開催された報告会では1人15分で研究成果を報告しました。

③難易度について

 私の出発前の語学力はCEFR B1レベルでした。レベル分けテストを受け、中級クラスに振り分けられました。
 授業では上智での授業のようにスピード感を持って進みます。
 ネイティブの先生なので早口で聞き取れるのかと心配していましたが、それよりもゆっくり話してくださいますし、分からないことを伝える機会もあったため、定着しやすかったように思います。筆記の課題も出されますが、自分自身のことを書く内容だったためそこまで苦労はしませんでした。

 一方、学校外での会話は予想以上に早口だったのでついていくのが大変でした。特に、ネイティブスピーカー同士の会話は気がつけば話題がガラッと変わるほど早く展開していくので、理解できなかったところは都度会話を止めて教えてもらう勇気を持つことも大変なポイントの1つでした。

④現地での生活について(宿泊形態・治安等)

 現地では一人ずつホームステイ先に滞在しました。
 私のホストはハベリアナ大学の教授とその奥さんで、二人暮らしするアパートの一室に滞在しました。町は世界中の食のレストランが集まる地域で、本屋や雑貨店、スーパー等もあり、午前中から夕方にかけてにぎやかな場所で、学校へは徒歩20分の距離でした。
 治安に関して、滞在先のアパートや学校の警備は万全だったように感じます。
 アパートはオートロックで24時間警備員がおり、外出・帰宅時には声をかけて門を開けてもらっていました。

 学校には各棟に警備員やセキュリティゲートがあり、登校初日に発行される学生証を携行しないと入れないようになっていたため、日本にいるより安心感がありました。
 ホストファミリーや現地の友人と町を歩いていて、ここは危ないというところを教えてくれるのですが、そのような地帯は人目がなかったり道路や植栽が不整備で、格子鉄線が高く張られていたりする場所でひと際危険な雰囲気であったため近づかないようにしていました。
 他の日本人の学生はトランスミレニオという路線バスを使って通学していた人もいましたが、そのバスの改札は誰でも通れてしまうような簡単なつくりで、車内には物乞いをする人や泣きながら近づいてくる人がいるなど、常に気を張っていなければいけないという話を聞きました。

ハベリアナ大学の写真。キャンパスは非常に大きく、坂や段差も多いので標高に慣れない初めのうちは教室移動するだけでひどい息切れをしていました。講義棟や講堂、コート、カフェテリアや売店、図書館などがあり、各棟にはコロンビア人の名前が付けられていて紛らわしかったです。各教室には大抵プロジェクターが1台設置されています。

 また、20歳前後のアジア人がボゴタの町中(校内)を歩いているということがいかに珍しく不思議な光景であるかは、通り過ぎる人々に3度見された後に振り返って見られることからよく分かりました。

 食べ物はフルーツが新鮮で種類も豊富、持って帰りたいくらい美味しくて毎食後食べていました。
 レストランで出される食事は想像以上に量が多く、日本の5倍は出てくるのが遅かったです。アボカドとパクチーを使った料理がとても多く、どちらも嫌いでしたがいろんな料理を食べているうちに、いつの間にか大好きになっていました。

Plaza de mercado Paloquemao (パロケマオ市場)。ボゴタ最大の市場で果物、野菜、肉、魚、花など種類豊富に並んでいます。店員さんに頼めば果物を試食させてくれたりアソートセットを作ってくれたりします。しかし、誰でも入れてスリは多く、外国人には危険らしいのでホストファミリーと訪れました。
コロンビアの代表的な料理、Ajiaco (アヒアコ)。基本的に朝晩はホストファミリーや週2回来るお手伝いさんが作ってくれます。コロンビア料理だけでなくイタリア料理(ペンネやグラタンなど)も多い一方、予想に反して米も頻繁に食べることができました。

 休日はホストファミリーが所属するロータリーの活動に同行したり、大学で知り合った学生に観光地を案内してもらったり、おすすめのレストランで食事をしたり日本食を振舞ったりして過ごしました。

ホストファミリーのロータリー活動についていき、小さな村に行った日の写真。コロンビア食で一番気に入ったのは、コロンビアでは典型的な主食であるチーズ入りのアレパ(トウモロコシを挽いて作った薄焼きパン)です。

⑤意外なカルチャーショックについて

 帰国時、経由地のメキシコシティでの手荷物検査が想像以上に厳しく驚きました。
 なんと①トランジットのために大きな荷物を日本行きの便に預ける際、②搭乗前の手荷物検査、③搭乗直前の3回厳重な検査が行われました。特に3回目の検査は国籍職業に関係なく、手荷物の中を、ポーチの中まで徹底的に見られることに衝撃を受けました。
 中南米から日本への入国には厳戒態勢を張っているらしいので、入国時はしっかりめに検査されることを覚悟しておいた方がいいと思います。

⑥後輩・次年度以降の参加者へのメッセージ

 南米コロンビアへ1人で渡ることは不安も伴うと思います。確かに、発展途上の部分もあるし、気を抜いては危険なことは起こりやすい国であると思います。
 しかし、私が出逢ったコロンビアの人々は私の話を最後まで聞いてくれるし、「わからない」「疲れた」などと伝えても嫌な顔一つせず、私の気持ちや要望に寄り添ってくれました。
 知らない土地で知らない人と出逢っても「日本人の友達だよ!」と紹介してくれるので疎外感を感じることはありませんでした。ただ、それは自分自身がたくさん友達を作りたいことや見たい場所などを伝えるようにしていたことも関わっていたと思います。
 きっとコロンビアに行けば皆さんに逢うことを心待ちにし、親切にしてくれる人がいっぱいいます。
 大いに頼って冒険してください!!