2021年度取組み紹介
2021年度に行った本学の主な取組みを紹介します
オンラインによる国際教育プログラムの充実と渡航留学の一部再開
コロナ禍による影響が続く中、長期では計20名超の学生が交換留学生としてオンラインで海外協定校の授業を履修。秋学期には各国の感染状況の改善に伴い、一定の条件下で渡航留学を認める特例措置を講じ、グローバル教育センターの支援によって交換留学生として134名が実渡航した。海外協定校の拡充も積極的に進め、新たに7校と交換留学協定を締結し、交換留学協定校は62カ国339校にまで拡大した。単位付与を伴う短期プログラム(語学、研修、実践型)では26コースで計209名の学生が参加した。また、本学のプログラムに国際基督教大学や関西学院大学の学生も参加し、国内大学との連携がオンラインプログラムでも実現した。学期中にエストニアの大学の授業に参加し、現地学生とともにディスカッションやプレゼンテーションを行う初の試みも生まれた。
「内なる国際化」を推進する交流プログラムの実施
学生同士が交流できる機会が引き続き限られる中、海外や地方在住でも参加できるオンライン形式で「人と人」、「大学と学生」、「社会と学生」といった様々なつながりを意識したプログラムを提供した。今年度は教職員による講演の提供も積極的に行い、授業や業務以外の顔を紹介することで、特に学生とのつながりを強化した。また、感染状況が落ち着いた時期には、来日後に日本文化を体験する機会がなかった留学生を対象として、歌舞伎鑑賞や大相撲観戦等を企画した。ツアーについても歌舞伎や大相撲に精通した教職員が帯同したことにより、通常よりも活発な質疑応答がなされた。参加学生の満足度も高く、今後も教職員の得意なことを活かす形で、さらなる学生支援とグローバルキャンパスの創成を進めていく。なお、令和4年2月、3月に実施したオンライン味噌講演とウポポイオンラインスタディツアーは「JV-Campus」留学生応援特別ボックス(コミュニケーションプログラム)でも紹介した。また、初の取組みとして、パナマ大使館との共催プログラムにおいて、全編スペイン語での講義を開催。新たな参加者を獲得するとともに、本学の多様性ある学生たちのニーズに応えることができた。コロナ禍により海外や地方在住の学生が多くいたことから、オンライン形式のプログラムを中心に開催しつつ、年度後半にかけては“Withコロナ”の活動として対面形式のプログラムも取り入れ、様々な状況にある学生が自分の都合に合わせて参加しやすく、かつ、日本文化・異文化体験や学生同士の交流を深められる機会を提供した。
IR調査結果の利用・学外への情報発信・研究分析ツールの活用
IR活動の調査・分析結果については、IR教学部会と経営部会での報告のほか、Zoomを使った学内報告会を定期的に開催し、教職員への情報共有の機会を増やした。学生調査・卒業生調査については、学内で説明会を実施して授業実施の検討に活用したほか、BIツール「Tableau」による動的なグラフをファクトブックに掲載し、学外にもコロナ禍における学生動向について広く発信した。英語コース(SPSF)については、志願者動向のみならず、入学後の学生調査を実施し、外国人留学生の意欲・能力変化などを定期的に分析し、運営に役立てている。また、「サスティナビリティ推進本部」の発足により、SDGsに関する学内での推進体制が強化されたほか、国連大学SDG大学連携プラットフォームにも参加し、THE大学インパクトランキングの分析データや海外大学の取組の調査結果を共有して、国内大学のSDGs推進活動にも寄与をした。世界大学ランキングのレピュテーション対策として、各種分析結果を学内説明会で報告するとともに、研究分析ツールについても教職員の利活用を促進することで、教員の意識向上、学内でのランキング向上に向けた取組みにかかる議論の活性化に寄与した。
本年度は、IR活動によって得たTHE大学インパクトランキングの知見を活用し、SDGsに関連する学内の教育研究、社会活動を取りまとめるとともに、「サステナビリティ推進本部」では学生の参画も得ながら全学的な推進体制を大きく進展させた。
上智大学 SDGs&サステイナビリティ
国際アドバイザリーボード(外部評価委員会)の開催
9月に開催されたアドバイザリーボード会議では、「グローバル化社会で活躍する人材を育てる教養教育」と題し、「自立した学修者」の育成を目指すべく、次年度から開設する基盤教育センターの動きを踏まえてグローバル人材の育成に資する教養教育のあり方について議論が行われ、多くの示唆を得ることができた。また、3月に開催された会議では、第3期メンバーでこれまで行った会議の総括を行い、大学への報告と提言「Report and Proposals of Advisory Board 」が取りまとめられた。
英語コース(Sophia Program for sustainable Futures : SPSF)の展開
開設2年目を迎え、国内外の多様な学生が集う中、「持続可能な未来」を考える上での基礎的な方法論や理念を学びつつ、連携する各学科の専門科目を学ぶプログラムを順調に進行させた。また、学生も参画したPR活動により、新たに受け入れを開始した新聞学科も含め、昨年度から1.5倍増となる約450名志願者を獲得した。
SPSF紹介
国際バカロレア(IB)資格を持った受験者数堅調な伸び
国内外のインターナショナルスクールや、海外のIB認定校を対象とした国際バカロレア(IB)入試では、制度立ち上げ以来、順調に志願者を確保し、今年度は志願者数74名(前年度67名)を集めた。
海外大学及び高校との連携の拡大
コロナ禍により、現地に赴いての高校訪問、協定締結に向けた交渉が困難な状況が続いたが、新たに10カ国11校と交換留学協定を締結し、交換留学協定校は62カ国338校にまで拡大した。また、海外指定校は中南米地域では初となる日本メキシコ学院(メキシコ)と新たに協定を締結した。
本事業による教育プログラムへの参画につながる啓発イベントの実施
「国連の活動を通じて世界と私たちの未来を考える」をコンセプトに、6月と10月全てオンラインで「国連Weeks」を開催。総計で約3,400人の参加があった。10月にはアミーナ・モハメッド国連副事務総長による特別講演会「SDGs実施へのグローバル課題」が開催され、コロナ禍や気候変動、不平等の拡大、紛争の急増など不安や不確実性に直面している世界の現状を述べた上で、 「公平なワクチンの分配」「貧困をなくすための社会的保護プログラムの拡大」「質の高い基本的なサービスの提供」「カーボンニュートラルかつグリーンな社会への移行」「誰も取り残さない持続可能な開発のための新たなパートナーシップの構築」の5つの重要な分野での行動を訴えた。これはカトリック大学として本学が掲げている「貧困・環境・教育・倫理」の課題解決を柱としたグローバル教育に通じるものであり、本学の教育精神を再認識するよい機会となった。
特性を活かした海外拠点の運営と自走化への取組
自走化への取組みの一つとして現地会社法人化を行ったASEANハブセンター(タイ)では、引き続き高大連携、国際交流、社会人教育の推進の一翼を担うとともに本学のプレゼンスの向上に寄与した。具体的には、大学からの委託業務でもある「上智大学の高大連携」事業として高校生向けのオンライン探究学習プログラム「せかい探究部」を軌道に乗せ、当該年度の10か月間の間に第1・2期生から優秀な学生10名を上智大学への進学へとつなげたほか、社会人を対象とする「バンコク国際機関実務者養成コース:国際教育開発・協力分野」を実施し、35名の受講者に対して、14回のセッションを実施した。また、千葉大学の全学留学プログラム(オンライン)等の企画運営を支援し、コロナ禍における他大学の国際交流事業の発展の一翼を担った。